AIで絵コンテを作るとき、1枚ずつ生成していませんか。
私も最初はそうでした。そして行き詰まりました。
いまは 9枚まとめて出しています。
なぜ1枚ずつだと駄目なのか
理由は2つあります。
① 単純に大変
1枚ずつショットを作って、さらにそこからキーフレームを作る。この工程を全カット分やると、あまりにも時間がかかります。29話ぶんとなると現実的ではありません。
② シーケンスとしての連続性が見えない
こちらの方が本質的です。
1枚ずつ生成していると、流れが判断できません。「こういうアングルが欲しいんだよな」と思っていても、JSONの指定だけでは意図した絵が出てこないことがあります。
そして、それが繋がりとして正しいかどうかは、1枚を見ていても分かりません。
9枚並ぶと、何が変わるか
JSONから9枚をまとめて生成すると、状況が変わります。
① 連続性が見える
並んだ状態で見ると、「このカットをこう変えれば大丈夫」というのが見えてきます。カットの流れ、サイズの変化、視線の方向——シーケンスとして判断できるようになります。
② 出来ているもの/出来ていないものが分かる
9枚のうち、うまくいったカットと、直すべきカットが一目で分かります。だから出来ていない部分だけ直せばいい。
1枚ずつだと「これは良いのか悪いのか」の基準が持てません。並べて初めて相対的に判断できます。
キャラクターをLLMに学習させずに済む
もうひとつ、実務上とても重要な利点があります。
絵コンテ生成には、いくつかやり方があります。
- キャラクターイメージからComfyUIに繋いでショットを生成する
- 仮のキャラクタービジュアルを入れて生成する
- 仮キャラを入れた状態で、そのまま画像生成AIに渡す
ここでポイントになるのが、JSONで管理していると、紐づけファイル自体を差し込めるということです。
つまり、こういう運用ができます。
キーフレームは作る。でもキャラクター自体はLLMに学習させない。
これは地味に見えて、商業案件では決定的です。
競合するIPを扱うことがあります。 そのとき「LLMに学習させずに一貫性を守っている」という仕組みは、契約面でクライアントに説明しやすい。
「AIを使っています」と言った瞬間に不安になる発注者は、まだ多い。その不安に、設計で答えられるわけです。
ChatGPT Images と Gemini の違い
実際に使ってみた比較も書いておきます。
ChatGPT Images 2.0 が出てから、かなりやりやすくなりました。
一方、Geminiで同じことをやると:
- キャラクターデザインの色が安定しない
- 意図した色が出ない
という現象がかなりありました。
ただし面白いことに、JSONで管理して、連続した状態で出力すると、Gemini側でも構図・位置関係の破綻がかなり軽減されます。
Geminiは「位置関係を覚えていない」印象がありますが、連続性のある出力にすると内部的に安定するのかもしれません。ここは推測です。
9枚並べたら、今度は切り抜きが面倒になった
そして、次の問題が来ました。
9枚まとめて出すと、そこから1枚ずつ切り抜くのが面倒なんです。
グリッド状に並んだ絵コンテシートから、コマを1つずつトリミングして、リネームして、次の工程へ渡す。カット数が増えるほど、この作業が効いてきます。
そこでツールを作りました。
StoryboardCrop — 絵コンテシートを読み込んで、コマを自動検出してグリッドごとに切り出すものです。手動でのグリッド指定や、コマの結合・除外もできます。ブラウザだけで完結します。
最近はもう、これなしでは作業できない体になりました。
この工程の位置づけ
全体のフローで言うと、ここです。
① 脚本
② JSON変換 ← キャラ・背景・シーン・カット割り
③ 絵コンテ生成 ← ここ(9枚まとめて)
④ キーフレーム生成 ← 絵コンテから抜いて清書
⑤ 動画生成・編集
③で全体を見て、④で一枚を見る。見るものを工程で切り替える、というのが設計の考え方です。
ラフの段階で1枚の完成度を上げようとすると、全体が見えないまま細部に時間を溶かします。9枚まとめて出すのは、その罠を避けるためでもあります。
まとめ
- 絵コンテを1枚ずつ生成すると、連続性が判断できない
- 9枚まとめて出すと、シーケンスとして見え、直すべきカットだけ直せる
- JSONで管理していれば、キャラをLLMに学習させずに一貫性を保てる(契約面で説明しやすい)
- ChatGPT Images 2.0 は扱いやすい。Geminiは色が不安定だが、連続出力で破綻が減る
- 9枚出すと切り抜きが面倒になるので、ツールを作った
- 設計の考え方は 「全体を見る工程」と「一枚を見る工程」を分ける
まとめて出して、まとめて判断する。これだけで作業量がかなり変わります。
